八木さん家の5人兄弟。


「あれ? お兄ちゃんは?」

 昨日夜ご飯の時、お兄ちゃんが座っていた席が空いてるのに気づき、素朴な疑問をなげかける。

「・・・悠斗は職場行った」

「あ・・・」

 そっか、美容師さんだっけ。


「朝飯だけ作ってったけど。てか巧。もう行けば? 遅れるよ?」

「分かってるっての。雪、バイバイ」

 巧くんは、口元を親指でグっと拭うとスタッズがついた黒い鞄をつかんで、急いで出て行く。

 今日は大きなサングラスをつけていない。

 いつもつけるわけじゃないのか・・・。


 私は出て行く巧くんに小さくバイバイする。


「お前も早く食って。悠斗にお前と学校行けって言われてるから。オレまで遅刻したくないし」

「あ、ゴメン」

「あ、小夏。オレも一緒に行っていい?」

「やだ。お前といると女に絡まれんだもん」

「う・・・」

 そんな2人の会話を聞きながら、私は黙々と食事をすすめる。

 オムレツ美味しいっ。

 お兄ちゃんに作り方教えてもらおうかなー。


 やだなぁ・・・ブラコンになりそう。

  
「あ、ごちそうさま」

「ん・・・。じゃ、オレもごちそうさま」

「じゃ、オレも」

「翔。何でかぶせてくんの?」

「小夏こそ雪にかぶせてんじゃん」

「オレはたまたま・・・って、こんなやりとりバカらしいからパス」

 さっさかとお皿を片付ける小夏くんに、私も続いてお皿を片付ける。


 そういえば、このお皿は誰が洗うんだろう。

 お母さんがいないから・・・。

 ご飯作ってるのはお兄ちゃんだから・・・お兄ちゃんかな。


 そのうち・・・私が代わってあげれたらいいな。