「あれ? お兄ちゃんは?」
昨日夜ご飯の時、お兄ちゃんが座っていた席が空いてるのに気づき、素朴な疑問をなげかける。
「・・・悠斗は職場行った」
「あ・・・」
そっか、美容師さんだっけ。
「朝飯だけ作ってったけど。てか巧。もう行けば? 遅れるよ?」
「分かってるっての。雪、バイバイ」
巧くんは、口元を親指でグっと拭うとスタッズがついた黒い鞄をつかんで、急いで出て行く。
今日は大きなサングラスをつけていない。
いつもつけるわけじゃないのか・・・。
私は出て行く巧くんに小さくバイバイする。
「お前も早く食って。悠斗にお前と学校行けって言われてるから。オレまで遅刻したくないし」
「あ、ゴメン」
「あ、小夏。オレも一緒に行っていい?」
「やだ。お前といると女に絡まれんだもん」
「う・・・」
そんな2人の会話を聞きながら、私は黙々と食事をすすめる。
オムレツ美味しいっ。
お兄ちゃんに作り方教えてもらおうかなー。
やだなぁ・・・ブラコンになりそう。
「あ、ごちそうさま」
「ん・・・。じゃ、オレもごちそうさま」
「じゃ、オレも」
「翔。何でかぶせてくんの?」
「小夏こそ雪にかぶせてんじゃん」
「オレはたまたま・・・って、こんなやりとりバカらしいからパス」
さっさかとお皿を片付ける小夏くんに、私も続いてお皿を片付ける。
そういえば、このお皿は誰が洗うんだろう。
お母さんがいないから・・・。
ご飯作ってるのはお兄ちゃんだから・・・お兄ちゃんかな。
そのうち・・・私が代わってあげれたらいいな。

