GEDOU―樹守る貴公子―



 いや、もともと自分のような人間は、莢に好意を寄せる資格さえ無い。

 あれでよかったのだ、と天冥は言い聞かす。


 というか、どうして嫌いにはならなかったのだろう。天冥は自問した。


 逃げ出したあの夜から、人など好きになることはないと思っていたのに。