その後、多優はどこかも分からぬところに十年間もの間幽閉されていたのだ。
多優の丸く可愛らしい目は次第に鋭く吊り上り、唇は紫色に変わり、異様に身長が高い青年に成長し、もはや多優は以前の面影を残してはいなかった。
そして多優が知らなかったこと――二十歳になったおりに斬首となることが兵部省にて決まったのだ。
それを多優に伝えたのが、道満である。
強い呪力を放つ多優に興味を持ったのだ。
『逃げよ、わっぱ』
『なぜじゃ』
『あ奴らはお前の首を狩る気じゃ』
その言葉は、多優にますます殿上人への嫌悪感を増幅させた。
『俺は、蘆屋 道満』
『道、満?』
『多優なるわっぱよ、逃げるのじゃ』
道満の一言こそ、多優を穢土へと駆り立てたのだ。


