GEDOU―樹守る貴公子―



「火事に遭わぬように、枯れぬように、切られぬように。そんな願いを込めてある呪符を貼るために、俺はここに来るのだ」

「特別、大事なのだな。この木は――」


 思わず口にした明道の言葉に、意外にも天冥は肩を跳ね上げて瞳孔を見開いた。

 動揺の意を露わにし、大慌てで否定する。


「何を言うかっ!それは違うっ!」

「いや、しかしそんな言い方だったではないか」

「別にっ、『こいつ』だけが特別だなどと言っておらんぞっ!それに、『こいつ』のためにやっているのではないぞ、勘違いするなよ明道!」

「わ、分かった」


 一気に怒号を上げた天冥の顔は、面白いほどに赤く染まっていた。

 梅の花とつかぬこともない。

 ぜぇぜぇと息を知らしているが、天冥の頬の赤みは、どうやら息切れが原因ではないらしい。


「天冥、顔が・・・」

「赤くないっ!」

「あ、見え透いていたか」

「そんなの、お前の顔で分かる!それと人をからかうなっ!」