(良かった)


 ひとまず、明道は胸を撫で下ろした。


「これは、心眼術か?」

「心眼というより、透視じゃな」


 しれっと言う天冥だが、その目は心なしかいつもより穏やかな表情を作っていた。

 吊り気味の目がほんのりと垂れ、ぎらりと光る瞳孔は半開きになって柔らかな眼光が灯る。


「天冥?」


 いつもらしくないと思い明道が声をかけると、天冥ははっとして顔を元に戻す。


「なんじゃ」

「いや、なんだかいつもより穏やかというか、優しげだな、と」

「くだらぬ」


 そのまま天冥がかざしていた手を離すと、子供達の姿は見えなくなってしまった。


「もうよかろう。行くぞ」

「どこに」

「俺の行きたい所に」


 天冥は懐から呪符を取り出し、指の腹で挟みてひらひらとさせた。