GEDOU―樹守る貴公子―



 天冥はボソリと一言付け足した。


「そうなったら、まずお前の頭に喰らいつくだろうな」

「もういい、分かった」


 明道は首を左右に振った。


「それが使えないなら、私は一人でも戦う」

「馬鹿な奴じゃ。貴族で方術も使えぬお前に何ができる」

「太刀なら、扱える」

「予言してやる。お前が戦っても、十秒も持たぬぞ」

「それ以外、私に出来るものなどないから、私にできる事をする。それだけだ」

「あーあ、これは渾沌に好かれそうにないな。明道は」


 茶化すような口調で天冥が問うた。


「第一、そこまでして一体何を守りたいというか」