「そういえば・・・」


 粥を口に運びながら、天冥は思い出したように言った。


「明道、お前は確か唐の国から帰って来たのだったな」

「ああ・・・」

「あの時大事そうに抱えていた木彫りの像、あれがお前の親父と幻周とかいう奴にとっての『厄介者』か?」


 天冥に言われ、明道はハッとして懐を触った。

 大事に入れておいたはずの木彫りの像が無い。


「まさか天冥―――」

「お前が眠っておる間に俺が抜き取ってやった」


 なんという「してやったり」の顔。


 明道は、この男は優しいのか酷いのかどちらなのだと神に問いたくなる。