GEDOU―樹守る貴公子―



 明道はあわてて門を開け、外に出る。

 鞠ってあんなに高く飛ぶのか、と思いながら、だ。


「あ・・・」


 外に出てすぐのところで、鞠を見つけた。


 それは一人の男の手に収まっている。


「あなたは・・・」



 目の前の者が誰かも知らないのに、明道は言った。一瞬、相手を「お前は」と言いかける。


 蜜柑色の狩衣を身にまとい、足が長い。ほっそりとしており、烏帽子をかぶっている。


 怪しい整いっぷりの口髭もある。


 付け髭ではないか、とどこかで思った。


 しかし顔貌は整っているようにも思える。