本当は、莢を突き放そうと考えていた自分が、一番莢に惚れていたのだとも、言えない。


 それは、自分のような『外道』という立場の人間が言える言葉ではないからだ。


 結ばれる事は叶わない。


 思いを伝える事も叶わない。


 いや、もう莢に会うことも、叶うことはないだろう。


 たとえ自分が死んだとしても、莢は浄土、自分は地獄行きだ。


 死後も会えないという、外道をも超える残酷な運命(さだめ)の中に、自分と莢はいる。