GEDOU―樹守る貴公子―




 莢はその動きやすそうな小袖をなびかせ、天冥の所まで歩み寄った。



「ひどい怪我・・・痛そう・・・」



 そう言った莢の顔は、泣きそうだった。


 莢は、きっと知っているのだ。きっと聞こえていたのだ。


 天冥がなぜああも必死になって戦ったかを。


 だが、その泣き顔さえ、今の天冥には苦痛にもなった。


 莢が顔に手を伸ばしてきた時、天冥はあろうことか、わざとそっぽを向いた。



「・・・ふん」



 これ以上、近づいて欲しくなかった。


 自分はこれ以上・・・莢に気を持ってはならなかったからだ。


 莢もそれが分かったのだろう。


 少しばかりうつむき、ぼそりと言った。







「ごめん・・・なさい・・・」