「…………源九郎」
「はっ」
「お前は帰らずとも良いぞ」
「…………………は?」
目の前には不気味に微笑む家康の姿…─────
───── 一体、殿は何をお考えか…?
家康の意図がわからないままぽかんと呆けている源九郎に続けて言った。
「お前が奥州に残ろうが、三河に戻ろうが、お前の勝手であるということだ」
「……………なに、ゆえ?」
「それは、お前が一番よぅわかるはず─────」
───────
─────────
「────それって、戦力外通告ですね」
道中、さらりと半蔵は言った。
「んなことはわかってら!……けど、俺は奥州にくれてやるほど徳川には要らない人間なんか?」
あの言葉以上は家康から何も言わなかった。
源九郎が旅支度を済ませ、浜松城門をくぐると半蔵が待っていた。
それから今までのことを半蔵に話していた。
だがしかし、きっと半蔵に話したところで自分の気持ちが晴れるわけではない。
現に、さらなる追い討ちをかけるような言動をふりかけられ、心ではため息をつくしかなかった。


