三河の槍使い





「おや…、健造殿?」



「……結納の日取りは三日後でよろしいと思います。祝言も追々ということで」




膝下を少し払うような仕草をして健造は部屋を出ていこうとする。




「おぉ、お帰りか。とよ、お見送りを」




「………はい」






────三日後。
そして、追々祝言…。






とよも健造の後を付いていった。







────玄関先にて、




草鞋を履いた健造はとよへと向き直る。





「では、三日後ですね」





「…………」





何も言えなかった。




必ず来るとは思っていたが、まさかこんなにも早いとは思わなかったからだ。





本当にこんな人と一緒にならなければならないのだろうか…。




とよは無意識にまた下を向いていた。




彼の草鞋を見つめる。






「あなたは……」





その時、上から冷めた声が降り注いだ。



次の瞬間、強い力で腕を捕まれて引き寄せられた。



そしてそのままあの薄い唇を耳もとに近付けられる。







「他の男のことなど考えるな」





健造の口調とは到底思えない声色にとよは目を見開いて見上げた。






「お前はオレを見てればいいんだよ。オレをしょうもねぇ嫉妬に掛らせんな」




「け、健造…様……?」