「おぅ!小十郎帰ってきたか。頼んだ団子は買ってきたろうな」
門が開き、中から年若い男が威勢良く出てきた。
「独眼竜……」
その名の通り右目は覆われ、左目はギラギラと輝いていた。
その瞳に映る光はやはり、大名の誰しもが狙う永久(とわ)の宝を狙っているのだろうか。
――――――もっとも、今は小十郎がもつ獲物にご執着のようだが。
「ん?誰だ、貴様…」
その獲物の手前に見慣れぬ姿を認め、政宗は訊ねた。
「俺ぁ、源九郎っつうもんだ。あんたの役に立ちたくてよ、今日はそれで来たんだ」
先ほどの様子を窺うに、この伊達政宗って男はそれほど警戒を強める相手じゃねぇな。
団子に食い付いてくるあたり、とんだ坊っちゃん大名ってとこだな。
そう思い、源九郎が口角を少しだけ釣り上げた瞬間だった。
「お前、どこの者だ?」
突如として、政宗の眼光が消え、氷のような視線を源九郎に向けた。
その急変に源九郎はたじろく。


