源九郎はまじまじと彼の上から下まで凝視した。



色素が薄いのか、小十郎の髪の色はどこか茶色めいていて、それが陽の光でさらに光って見えた。





さらには、そんな異国を思わせるような髪に負けず劣らず、顔もしっかり整っている。






こんな優男に一国の城主の右腕が勤まるものなのだろうか。






そう考えを馳せながら、源九郎は笹包みにされたものが大事そうに彼の手のうちに収まっているのを見つけた。







「小十郎様、公務お疲れ様でございますっ!」






さっきの威勢はどうしたのか、門番はすっかり懐いた猫のようになっていた。






小十郎は訝しげに源九郎を見つめた後、門番に向かって困ったように苦笑した。








「政宗様のお団子を買ってくることが公務ですか。随分と楽な仕事ですね」







「そんなことありません!殿の欲求を満たすのも、十分公務だと思われます!」




やけに意気込んだ声だな、と源九郎は面倒くさそうに二人の会話を聴いていた。





「そうですか……。―――――それで、この方は?」





目を細めて源九郎へと小十郎は視線を向ける。



一見、愛想良く顔を向けられているような気がするが、その細められた瞳の奥には源九郎を見極めようとする鋭い光が輝いていた。