――――――だが現実は、『見定めてやる』なんて甘いことは言えなかった……
「俺はただ、ここの城主の力添えでもできないかと思ってきたんだ。何も殺そうなんて思っちゃいねぇ」
「その言葉を我々がすんなりと信じると思うか!身の程を知れ」
二人の門番は断固としてその中へ入れてはくれなかった。
「貴様のような浪人を政宗様にお目通しするわけにはいかぬ」
当たり前と言えばそれまでだ。
人をすぐに信じてしまう武将など、とっくに国を滅ぼされていてもおかしくない。
しかしだからといって、家康に任された任務を怠るわけにはいかない。
彼の役に立つために、自分は半蔵に情報を流さなければならなかった。
源九郎は退く様子を一向に見せないので、門番たちも横目で目配せしながら困り果てていると、
「どうかしましたか」
ふと背後より男の声がした。
源九郎が振り返るとそこには、燦々と降り注ぐ日光の下ではあまりに似つかわしくない、色白で痩せた男が一人、立っていた。
「こ、小十郎様……!」
門番のひとりがすがった声で彼を呼ぶ。
そうか、この男が伊達政宗の右腕と謳われる片倉小十郎…―――