三河の槍使い







「何しに俺に会いに来たんだよ」



源九郎は槍を肩に乗せて数回叩いた。




鍛え上げられた筋肉と木製の槍が張り合った音がこの静寂な中に響く。







「そうですね、様子見、といったところでしょうか」







監視、という類のものなのか。








「…………へっ。俺を手放したくせにまだ干渉するってのかい」







陰ながら、というのは許されないのだろうか…






捨てたくせにまだ半蔵を監視役に置いていることが理解出来なかった。









「裏切られて、お前が奥州に三河の情報を流されないようにするためですよ」







「馬鹿やろう、裏切ったのは殿の方じゃねぇか」









「心外ですね。家康殿はお前を裏切ってなどいません」







「なんだと……」







源九郎は距離を詰める。




近づけば近づくほど半蔵が小さいことがよくわかるが、醸し出す雰囲気は源九郎自身の何十倍にも膨れ上がっていた。







いつも以上に放つ殺気に少々気圧される。








「お前が『浪人』という自由になった方が、奥州に乗り込みやすいということですよ」






半蔵は意味ありげに目を細めた。