華やかな昼の裏の顔、と言うべきだろう。
この奥州でさえ、裕福な者と貧しい者の差が大きい。
どうにかして彼女を救いたいと思うが、その術を持たない。
─────何と歯がゆいことかね…
源九郎は目の前の状況に目を背けるようにして瞳を閉じた。
そしてまた、城下を歩き出す。
─────
───────
城下の外れまで来てしまった。
ここまで来てどこにも良さそうな鍛練場は無い。
「…陽が明けちまうな」
朝早くには米沢城に行くつもりだ。
ここで失敗(しくじ)ることは許されない。
家康に捨てられてもなお、彼のために尽くしたいと思っている。
家康のため、三河のため、自分は行動するのだと心に言い聞かせる。
虚しい気持ちを必死に抑えつけ、ギリッと前を凝視した先にあの男が悠然として立っていた。
「半蔵…」
源九郎が彼の名を呟くと半蔵は礼儀正しく頭を下げた。
「無事で何よりです、源九郎」
その者の安否を心配していたような言葉をかけるが、無論それに抑揚といった感情の表れは一切なかった。


