一点の曇りもない真っ直ぐな瞳でそう言われたら、
「……………はい」
としか言えない。
とよがおとなしく頷くと、源九郎はにかっと笑った。
「ついでにな、俺は女など興味ないからな。路上を歩く女をわざわざ抱いたりしねぇよ」
陽だまりのような温かみを持つその笑顔に吸い込まれてしまいそうになる。
─────この方は、嘘なんてつかないんだわ…。
とよはそう確信する。
「じゃあな、とよ。行ってくるぜ」
お客様のお出かけ、と認識したとよは体勢を正して深く頭を下げた。
「いってらっしゃいませ、……げ、源九郎さま…」
まだ違和感があるその名を呼んでみた。
客の名を聞かされたのは初めてで、とよ自身もそれが正しかったのか不安があった。
────父様は客とは親しくし過ぎるなと言われている…
これが親しくすることに分類されるのかは疑問だが、確実に傾いている自分の心には気付いているつもりだ。
とよが頭を下げたまま思案していると、ふと大きな手のひらが頭の上に置かれた。
「とよが作ったんだろ?うまかったぜ、あの握り飯」
「え、ほ…本当に?」


