半蔵は片目を瞑る。





「………お前も同罪ですね」





後ろの方より逆鱗に触れた上司の声が廊下を響いている。




何せこれは殿の好物…───







「半蔵、てめぇ!俺に金平糖食わせやがったな!」






きっと第六天魔王と呼ばれる織田信長より友好の証として貰ったものだ。




殿、つまり徳川家康はこれを大切にちびちびと食べていた。






半蔵は悪戯でそれをくすねてきたのだろう。







雷を呼ぶ声はどんどんと近くなる。






「お前も逃げないと生き地獄になりますよ、美男子さん」




そう言って半蔵は廊下の奥へと走っていく。






「くっそ…!確かにそれは嫌だな」








源九郎も舌打ちをし、半蔵のあとをついていった。








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「………………んで、やっぱりこうなるんかよ…」






逃げたもののそれは虚しく、二人はまんまと家康に捕まってしまった。






「うん、さすが家康殿ですね。この僕が捕まってしまうなんて」





「嘘こけ、ばかやろー…。お前が一番早くに捕まったじゃねぇか。つか、金平糖の罠に容易く引っ掛かるんじゃねぇよ。忍だろうが!」






「忍と金平糖は関係ありません」