三河の槍使い







─────慕った男でもない者に自分の身体を売って生活していくとは、何とも憐れなことです。





そうしてなくては生きていけないのだ。





軽視するつもりはないが、同情したくなる。






今まさに、自分がそれに似た状態に陥りそうなのだから。








「女が?」





源九郎はその話題にくらいついた。







やはり、この男も所詮は男…───





そういったことにも興味があるのが男の性、とでもいうのだろうか。







「はい。妖のような声で城下を歩き回るようです」






「……………ま、考えておくよ」





「はい………?」







─────考えておく、とは一体何をだろうか。





迫った女を抱くこと?それとも………







「じゃ、俺は寝るからな」






と言って源九郎は勝手に布団を出して、横になってしまった。








「え…。あの……夕餉(ゆうげ)は?」





「ああ、握り飯をそこに置いといてくれ」







この後とよが話し掛けても聞こえるのは規則正しい寝息だけで、源九郎は完全に眠りについてしまった。