どうやら考え込み過ぎてフリーズしていたらしい。 「あ…凉。」 当の本人が教室の後ろのドアから、俯きながら入って来る。 凉の周りの空気だけが、黒く澱んで見えた。 その様子に気付くと、みんなの喋り声が一瞬にしてやんだ。 彼の今日の元気のなさは一目瞭然。 席についても、ただぼーっと遠くを眺めている。 そんな彼にかける言葉さえ見つからないのだろう。 私もその一人だった。 凄く、もどかしい。