「未桜…」


夏芽の顔が見れなくて
あたしは静かに目を伏せた

溢れる涙は頬を濡らし
漏れる小さな嗚咽は



「………っ…!」








塞がれた唇に、
止められた







目の前には
夏芽の長い睫毛があって

ミルクティーブラウンの髪は
濡れた頬を優しく撫でた


呼吸の仕方も
まばたきの仕方も
全部忘れた