[5]
「おい、あれ、エナカって奴じゃないか?」
「え?」
菘と別れた閏と雪。
二人は琥珀と琴を探そうと車を運転している。
凹んで銃で撃たれた形跡がある車なので見つかったら厄介だ。
人通りの少ない裏道を行くことにした。
そこで、角を曲がった瞬間雪はさっきの言葉を口にしたのだ。
エナカ。
閏はその名前を頭の中で反芻する。
琥珀が言っていた女の人だ。
本物の赤い女、と思われる人物。
「ちょっと声かけてみるか。」
「雪先輩ノリが完全にナンパですよ。」
雪は窓ガラスを下げ顔を出す。
エナカという女も気づいたようでこちらを見つめてくる。


