親が、居ないんだから。 それでも名字があるのは、自分達で作ったから。 “神野”も“伊阪”も作った名字。 本当の名字がこれなワケじゃない。 「お前らは一体何者だ?」 『だから…ただの女子高生ですって』 何者でもない。 本当なら、“神野稚里”という存在はいない。 だってあたしは…あたしたちは要らない子。 「……」 『もし何かあったとしても、あなた達に言う必要は無いですよね?』 そう、赤の他人なんだから。 あたしたちのことは、放っておけばいい。