だが二人とも、ハッキングという人には言えない趣味を持っていた。

おもしろ半分、そしてもう半分は自分の力を試す為もあり、いろいろな所に侵入しては、隠された情報を盗み見ていた。

「わたしはただ、侵入するだけでよかった。それを楽しんでいただけだった。だが…」

殺された男性はそのうち、情報を金に換え始めた。

もちろん、タカシナは止めた。

金が絡めばトラブルになることは分かっていたから。

しかし男性は忠告を聞かず、とうとう危険な情報にまで手を出すようになった。

そして会社のパソコンを操作し、金を横領した。

そこからはいろいろな会社の情報までも、操るようになっていったのだ。

「ニュースで会社のお金に手を出していたことは聞いていたんですけど、まさかそこまでとは…」

「そうだな。ニュースでは取り上げるには重過ぎただろう」

タカシナは暗い面持ちで頷いた。

「じゃあ…あの人はその危険な情報のせいで殺されたんですか?」

「…いや、アレはわたしのせいなんだ」

そう言って震える両手で自分の顔を覆った。