「わりと休日には」

「そういえばお前の撮る写真には、ここの風景が多かったな」

「はい。ケータイでよく撮るんですよ」

そう言ってナツキはケータイをカメラに見立てて、タカシナに向けた。

「あっ、良かったらタカシナ先生を1枚撮らせてくれませんか? もちろん、ネットには載せませんから」

「わたしの写真か?」

タカシナは怪訝そうな表情を浮かべた。

「はい! 部員達の写真はよく撮っているんですけど、顧問のタカシナ先生の写真ってほとんどないんですよ」

「…あまり写真に写るのが、好きじゃないからな」

「えっ、そうなんですか? ごっごめんなさい」

ナツキは慌ててケータイを下げた。

「…交換なら、良い」

「えっ?」

ナツキが顔を上げると、タカシナは優しく微笑んだ。

「わたしにナツキの写真を撮らせてくれるなら、映っても良い」

そう言って上着の内ポケットから、デジカメを取り出した。