―次の日―
「言って来まーす」
不安な気持ちを抱えていつものように家を出た。
「…私佳と別れたから、朝は1人で行かないといけないんだっけ…」
いつも佳と学校に向かうのが日課になっていたから、いざ隣にいないとなると何だか寂しく思えた。
「1人で学校行くのってこんなに寂しかったんだ…」
佳が隣にいないいつもの通学路を通って、少し斜めっている坂を登りきった時だった。
「実梨ちゃん」
私を呼ぶ声がした。
前を向くと、門の壁に寄っ掛かってこっちを向いて笑っている先輩がいた。
「先輩!?」
「おはよ!
待ちくたびれちゃったよー」
よっと壁から背中を離して私に向かって歩いてくる。
「おはようございます…
て、えっ?
待ちくたびれたって…いつからそこにいたんですか?」
「んー、20分ぐらい前?」
笑顔で答える先輩に、私は少し呆れながらも小さく笑った。
「先輩って、バカだったんですね」
クスクス笑う私に先輩は
「何だと〜?」
私の右ホッペをつまんで少し右に伸ばした。
「い、痛いれふ、せんはい!」
「ハハハハ、罰だよ!」
楽しそうな先輩は今度は左のホッペをつまんで伸ばした。
「せんはい!
遅刻しまふよ〜!」
「大丈夫だって、まだ…」
先輩がいいかけようとした時、予令のチャイムが鳴った。
「あ、あれ…?」
先輩は私のホッペを離し、苦笑いをする。
「もぅ、遅刻したら先輩のせいですよ!」
「ごめん!
俺の時計壊れちゃったみたい!」
腕時計を見てハハハと笑う先輩は呑気だった。
「急ぎましょう、先輩!」
走り出す私に「そうだね」と先輩も走り出す。
…なんかさっきまで不安と緊張で一杯だった気持ちが、一気に和らげた感じ…。
先輩のお陰かな…?
チラッと先輩の方を見ると気づいたのか、にっこりと笑ってくれた。
それに答えるように私も笑う。
なんとかうまくやっていけそうだ…。



