電話越しから聞こえてくる
明日香とはまた違う低い声



クスクス



また
まただ。



クスクス



クスクス



笑い続ける1人の女



『何だよ…』



何がおかしい?



女の笑い声を聞き携帯を持つ手に力が入る



人だかりの中
ふと顔を上げた俺の視界に



下を向いて立っている



ボロボロの黒の服を着た
明日香の姿が目に入る。



『……。』



見た感じからして
明らか異様な女は



俺を見てニヤリと笑い



人だかりをすり抜け
どこかに走って行く



『あ…』



ゆっくり
ゆっくり



立ち上がった俺は
ふらついた足で明日香の跡を追った