千紘と達也の話を
無言で見てるだけの俺は



どことなく気持ちが落ち着かず



コーヒーでも淹れようと
千紘を残しキッチンに…



千紘は冷静に話してるみたいだけど



加奈の友達の美希って子
危ないんじゃないのか?



そんな事を
考えながら



2人分のコーヒーを淹れる



俺は意味もなく
コーヒーポットを見つめ



ゆっくり
ゆっくり



コポコポと音を立て
出来上がるコーヒー



まるで砂時計のように
ポタポタ落ちるコーヒーは



少しずつ
少しずつ



下のポットのグラス溜まって行く




ブーブーブー♪



え?



ポケットの中で振動する
ある携帯に気付いた俺は



生唾を呑み込み



恐る恐る自分のポケットに
手を入れ中身を取り出す…



俺のポケットから出て来た物



それは加奈の携帯電話



『な、なんで千紘が持ってたんじゃ…』



電源が入っていない振動し続ける携帯



俺はどうしていいか解らず



コーヒーを放置したまま
千紘の居るリビングへと戻る