『……。』



とりあえず
千紘に言われるがまま悪除けをする俺



『…なあ千紘』



「ん?」



『さっきさ、窓を掴んでいた女とまた別の… 女の子の声がしなかった?』



「女の子?」



『うん』



「いや、俺は何も聞いてないけど…」



『……。』



気のせい?



いや、違う。
確かに確かに聞こえた



俺が口を抑えた瞬間



耳元で呟く様な小さな声で



" タ ス ケ テ " って



同じ車内の千紘は何も
聞こえなかったのか?



「新?」



「どうしたんだよ、ボーっとして…」



『…あの女知ってる』



「は?」



『俺、知ってた』



「……。」



窓を掴んでたあの女の正体



それは



『…死んだハズの、萌チャンの妹だった』