「…助けて下さい」
いまいち
意味が解らず首を傾げる結城
『どうしました?』
女は俺の質問に苦笑いを浮かべ
ゆっくり
口を開く
「家に帰りたいんだけど…昨日引っ越して来た所だから道に迷っちゃって…」
『えっと…住所は?』
女はポケットから
小さな紙を出してそれを俺に見せる
「これが家の住所… 住所までまだ覚えてなくて持ち歩いてました。どこか解りますか?」
どこだったっけ?
俺もよく解らない
けど
この住所見た事がある
『時間も遅い事だし…良かったらこの住所の近くまで案内しましょうか?』
「本当に!?嬉しい♪この辺の道…うろ覚えだから帰り道実は1人で不安だったんです…」
もうすぐ日暮れ
" 良かったぁ "と胸をなで下ろす
萌チャンに似た女に対し結城は優しく微笑む
同じく
俺の笑顔を見て優しく微笑む女
『……。』
本当によく似てる
この子を見てると
萌チャンと一緒に居た
少し前の昔の事を思い出す
それにしてもこの住所
達也の家の方面と正反対の場所…
『じゃあ着いて来て』
「は、はい!」
俺は道案内を始めた


