「美沙… さっきのお母サンはあたしじゃない、本当のお母サンよ… こっちへ来て…」
「い、嫌…違う、お母サンじゃない!」
「美沙…」
美沙の言葉を聞き
涙を流し
優しく微笑んだマスターの奥サンは
「美沙…ごめんなさい…本当にごめんなさい…」
持っていた包丁で
自分の胸を刺した
「お母サ…」
「う、嘘だろ…な、何で…」
胸を深く深く突き刺して
動かなくなった奥サンに
美沙とマスターが
涙を流しながら慌てて駆け寄る
その瞬間
クスクス
クスクス
笑い声が家中に響く
『……。』
アタシノ
ジャマ スル ヤツ
ミンナ シヌ
「来た…」
家中に響く声を聞いて
ガタガタと震える美沙
「来た?美沙…な、何が来たんだ?」
美沙の言葉に玄関を
部屋を見回すマスター
『マスター、ライター持ってますよね?貸して下さい』
「あ、ああ。いいけど…」
喫煙者のマスターに
ライターを受け取った俺は
『ありがとうございます』
玄関のドアまで誘導し
家から出る様に言う。


