『愛優、大丈…「あの人酷いよー突然殴るなんて」



愛優は頬を膨らませながら陸を指差す。



『愛優ごめ…「なーんて嘘。懐かしい思い出とか思い出せたし♪」



『えっ思い出したって?』



「あの人があたしの中に入って来たおかげで」



一体愛優は何を思い出したんだ?



上靴もだけど…


何より急がないといけないのは
愛優の命を守ること。



契約だのなんだのどうでも良い
死ぬ為に産まれて来たとか…



絶対に阻止しなきゃ



『愛優チャンその話し詳しく聞かせてくれる?あ、ちょっと待ってて電話…』



「うん♪」



俺のポケットの中で
携帯が鈍く振動する



『もしもし…達也?』



電話に出ると
相手は達也で



" どう?元気にやってる?"



達也と話すのは病院以来だっけ



そんな事を
考えながら



結城は相手に挨拶をする



" 元気そうで良かった良かった "



『達也の方こそ元気そうで何より。今仕事中だからまた仕事終わったら折り返すよ』



" あ、マジ? …悪いな結城 "



『いやいや、病院で話してた千紘の四十九日の話とかも聞きたいし』



" 千紘? "



『ほらもうすぐ四十九日にな…「だーかーら千紘って誰だよ?」



『な、何言ってんの?友達じゃん!』



" ははっ結城お前誰と間違ってんだよー、じゃ電話待ってるから!"



『おい達也…』



一方的に切られた電話



『達也一体何言ってんだよ…』



千紘と出会ったのは確か2年前の夏の日



結城が警官になる少し前



ガキの頃から仲良かった
達也もその時一緒にいた



出会いも別れも同じだったのに



忘れたと言うのか?



それとも



『…嫌な予感がする』



俺は慌てて千紘の職場や



千紘の事を知ってる俺の友達



「結城ー、俺と玲はちょい出るから留守頼む」



『解りました』



達也の言葉が気になり
順番に電話をかけた。



『…嘘だろ』



電話をかけた相手



全員声を揃えて言うのが



" 千紘って誰?"



「…結城おじチャン?」



『何で誰も覚えてない…』



俺は千紘から聞いた事のある



昔何度か遊びに行った
千紘の実家に電話する事にした