『…20年後然るべき償いをする事を約束する』



そう


この言葉は愛優が小さい頃に
よく口にしていた言葉の1つ。



俺は懐かしいこの文章を見て
無意識のうちに復唱していた



「え、何アンタ黒魔術マニアなの!?」



『別にそう言うのじゃないけど…玲奈サンこの言葉の意味知ってますか?』



俺の問いかけに
目を輝かせ食い付く玲奈



「あーっもう大好き♪」



『え…』



「バーカ。アンタの事じゃねーよ」



『…解ってますよ』



苦笑する俺を見て
舌打ちした玲奈は



突然


コロっと表情を変えて
楽しそうに話し始める



「我が受ける契約の掟に基づき20年後に然るべき償いをする事を約束する、その証としてここに署名する」



『……。』



「これねー悪魔と契約の儀式を行う時の呪文。悪魔が本当に居るかって?知らなーい!けど世の中は未知なる物で溢れてるからねー♪」



確かに


愛優が独りで呟いてたのは
玲奈が言った呪文だった。



『その話もっと詳しく教えてくれませんか!?』



「…え?」



異常な程の俺の食い付きに
びっくりしてる様子の玲奈



「えーっ何?結城ってヲタ系?」



友達と電話が終わった陸は
ひょっこり現れ会話に参加



『陸サンまで… 違いますって!!俺の娘が小さい頃その言葉をよく呟いてたから…その、気になって…』



「「は?結城子供居んの!?」」



子供が居ると知り滅茶苦茶驚く陸と玲奈



『そんな驚き過ぎですって…』



「いやいや驚くから… ちなみに小さい頃って事は今子供さん何歳?」



「それあたしも知りたい!」



『えと…今は多分18…「キャーっ結城チャンったら遊び人♪」



『はい?』



俺は


わざとらしくキャーキャーと
騒ぐ陸に対して殺意を覚える



「結城チャンそんな怖い顔すんなーって♪」



「きっとカルシウム足りて無いんじゃない?」



「お、なら牛乳あるぜ♪ 飲むか結城?」



『…結構です』



この人達、異常な程扱いずらい



身に染みて
経験した結城は大きなため息を吐く



『俺の子供って言っても本当の子供じゃなくて…』



「「……。」」



結城は
こんな現実味の無い話し馬鹿にされると決意し



愛優が産まれた時の事を
陸と玲奈に簡単に話した