「陸、どーせそいつもイカれた部署だって言って直ぐ辞めるんだからほっときなって」
陸 (りく)と呼ばれた
ホスト風の派手男は
自分の椅子に座り雑誌を読み始める
そんな女に注意をせず
にっこり優しく微笑む
「まあまあそう言わずみんなで仲良くやろーぜ玲チャン♪」
「だーかーら、その呼び方は辞めろって言ってんの!」
『あ、あの…』
「あ、アンタ名前何だっけ?」
『結城です!』
「で?」
『…ここに移動して来たんですけどどうしたら』
俺はどうしていいのか解らず
陸と呼ばれた男に問いかける
「んー適当に座っちゃって♪」
適当にってどこに座れば
机は向かい合わせに6つあり
全ての机の上には
書類が置いてある
そもそもどこが空いてんの?
俺は室内を見渡す
『あの、どこが空いて…』
「どこでも良いのにー?じゃあ玲の隣使え使え♪」
「こんな奴の隣なんて嫌だよあたしは!」
『……。』
なんかこの部署個性の強い人ばっかだなぁ
そんな事を
思いながら
俺は陸が指を差した机に自分の段ボールを置く
俺の机は
縦に
向かい合わせ
3席3席の中の
部屋の入口から見て
右側の1番奥の机で
真ん中に座る玲と呼ばれた女の隣
『よろしく玲サ…「陸はあたしの事玲って呼ぶけど…あたしの名前は玲奈だから。で、同い年でも敬語禁止!」
玲奈は挨拶した結城に対し
ぶっきらぼうに言い捨てる
「ここの部署のメンバーは結城含め全員で4人だから直ぐ名前覚えきれるんじゃない?まーアンタも直ぐ辞めるだろーけどー」


