翌日
『……。』
萌の火葬を終えた結城は
赤ちゃんが気になって
その足で病院へ向かう
「あ、結城サン…」
病室へ向かう途中
突然看護士に引き止められ
ゆっくり振り返る結城。
『お世話になってます。どうですか赤ちゃんの様子は…「せ、先生から退院許可が出てますので早急に退院お願いします」
えっ?
看護士は俺と目を合わせようとせず
早口で一方的に話す
『ち、ちょっと待って下さい… 検査はどうなったんですか!?』
昨日の話では
体の負担を考えて
赤ちゃんは続けて
検査出来ないから
最低5日は入院して貰いますって
言ってたのにどうして突然…
納得出来ない結城は看護士に問いかけ
相手の返答を待ちじっと見つめる。
「検査は全て終了しました。結果は3日後に出ますので3日後以降小児科の方に来て下されば良いです」
『どうして…赤ちゃんは1日で検査出来ないんじゃ…』
「……。」
俺の問いかけに黙り込む看護士
俺と相手の間に微妙な空気が流れる
そんな中
「あ、結城おじチャン♪』
奥の病室から走って来た
小さな女の子が俺の足に抱きついて来た
『え、あ…こんにちは』
可愛い子だな…
この子見た感じ3歳位かな?
抱きついて来た女の子に
優しく微笑み挨拶する俺
「あのね結城おじチャンの事ずっとずっと待ってたんだよ!」
待ってたと嬉しそうに
にっこりと笑う女の子
『俺の事を?』
相手の目線に合わせ
しゃがみ込んだ俺は
優しく女の子の頭を撫でる
「あの、結城サン…」
『はい』
今まで黙っていた看護士は
「その女の子…あなたの娘サンです」
突然訳の解らない事を口にする
『…え?』
「……。」
『萌チャンの子は昨日産まれたばかりですので』
「いえ、間違いなくあなたのお子さんです」
怯えた表情の看護士は
「よ、翌朝見たら…成長してて…」
『成長したってそんな1日で…「早く退院手続きを」
俺の言葉を遮って
逃げるように言い残していった。


