『あ、そうそうマスター俺今日から父親だから』
「え?」
俺の父親宣言に
マスターの表情は面白い程
凄くまぬけ顔になっていて
結城は思わず大爆笑
『なんて顔してんだよ』
「あ、いや…」
俺の突っ込みに苦笑したマスターは
水の入ったグラスを
目の前に置き微笑む
『ありがとう』
「そうか新も父親か…俺も年を取る訳だな」
子供の事
萌チャンの事
亜由美の事
俺が父親になることを
心から喜んでいるマスターに対し
俺はゆっくりと話し始める
その内容を
黙って聞いていたマスターの表情は歪み
「嘘だろ?その赤ちゃんを引き取るのか?」
ゴクリと生唾を飲み込む
亜由美は
マスターの奥さんに乗り移り
最終的には自殺に追い込んだ。
マスターにとって亜由美は
自分の家族を滅茶苦茶にした
悔やんでも悔やみきれない憎い女
こんな事
話すか話さないか迷ったけど
覚悟を決めて
話す事にした
『…萌チャンがお腹を痛めて出て来た子だし見捨てられなかった』
「新が決めた事なら俺は何も言わない。…産まれて来たガキに罪はないしな。男で1つで子育ては大変だぞー?ま、俺に出来る事なら協力するし…」
俺に対して辛そうに微笑んだマスターは
" 頑張れよ "
と、俺に優しく微笑んでくれた


