萌チャンが
手術室に運ばれてから
30分後…
1人で萌チャンの病室に居た俺は
突然のドアのノックの音に
慌ててドアを開ける
ドアを開けると
緑の手術着を着た看護士の姿
『あ…』
その手には
押し車になった簡易的な保育器
「…元気な女の子ですよ」
保育器の中には白いタオルにくるまれた
小さい
小さい
俺の両手位の大きさの
赤ちゃんが眠っている
『無事で良かった…あの、萌チャンは!!』
「……。」
黙り込む看護婦
『あの…』
スヤスヤ寝息を立て眠る
赤ちゃんを見ていた俺は
黙り込んだ看護婦に視線を向ける
「この子のお母サンは…「結城サン」
看護婦の言葉を遮り
病室へ来た水野先生
『先生、萌チャンは…!?』
「手術室に運んだ時にはもう…」
運んだ時には?
動揺する俺に対し
水野先生はゆっくり口を開く
「…午後18時30分 ご臨終です」


