『萌チャン!?』



病室に戻って来た結城は



「あ、結城サン病室にはまだ入らないで…」



入り口で入室を拒む
1人の看護士の言葉を無視し



病室へ入る



『……。』



病室で俺が見た物



それは


エコーを撮る


用意をする看護士達の姿と
大きく膨らんだ萌チャンのお腹…



「ゆ、結城サン…」



病室へ戻った俺に気付いた
看護士の顔は青ざめていて



『あ、赤ちゃんは!?』



「「……。」」



黙り込む看護婦達



しかも萌チャンのお腹に機械をあてた
看護婦の手は微かに震えていて



そんな中、水野が早足で病室へ来た



「み、水野先生!」



「容態…」



エコー映像を見た水野は
看護士と同様黙り込む…



「水野先生指示お願いします」



「ええ、でもどういう事?赤ちゃんが急激な速度で成長してる… 手術室の空き至急確認して」



「解りました!」



看護婦に指示を出した水野先生は
俺に対して手招きをすると…



エコーの映像を見せる



『…え』



そこに映っていた物



それは



俺が見てもはっきり解る









大きくなり過ぎてエコーでは
全身綺麗に映りきらない…



白黒の赤ちゃんの姿



「一般的にこの大きさまで来ると妊娠9ヶ月…このままほっておくと母体も赤ちゃんも危険な状態です」



『なっ…』



水野先生は俺に緊急帝王切開



麻酔をかけた後お腹を切り
赤ちゃんを取り出すと伝えると



萌チャンの処置を看護婦に任せて
慌てて病室から出て行った



『まじかよ…』



今日もうすぐ4ヶ月だって話した所なのに



もう出産?



萌チャンのお腹は



どんどん
どんどん



止まる事なく大きくなって行く



「水野先生早く…」



" 早く取り出さないと "



全く変わらない速度で
大きくなる赤ちゃんに



焦る看護士達



そんな中



「江波萌サンの病室ですか?」



また別の看護士達が病室へ



「よろしくお願いします」



結城が見守る中看護士は簡単に挨拶すると
ベッドごと萌チャンを連れて行った。