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1月…



「もうすぐ4ヶ月ですね」



今日も萌チャンのお見舞いに来た結城は



たまたま検診の時間と重なって
エコーの映像を見せて貰う事に



『……。』



俺が見ている中



主治医の水野先生は


萌のお腹に薬を塗り
そっと機械を当てる



暫く機械を当て続けた水野先生は



エコーの映像画面の
一部を指差し微笑む



「これが赤ちゃんですよ」



水野先生が指差したのは
白い塊みたいなもので…



『えっ…』



これが赤ちゃん?



産まれて始めて見た
白黒の胎児の映像に



黙り込む。



「お母さんからの栄養が不足な分一般的な赤ちゃんと比べると少し小さいですけど… 凄く元気ですよ」



『う、動いてる…』



「ええ。彼女のお腹の中で必死に生きようとしてるのねーそれかお父サンに見られて恥ずかしいのかなぁ?」



映像を見ながら
優しく微笑む水野先生に



『あ、あの…』



今日までずっと話せなかった
萌チャンの赤ちゃんの父親について



正直に話す



「えっ…」



" 赤ちゃんの父親は俺じゃない "



俺の話しを聞いて驚く水野先生



「じゃあこの子の父親は…」



『俺にも解らないんです』



「……。」



萌チャンのお腹にあてた
機械を離した水野先生は



先程の表情と一変
険しい表情をしてゆっくり口を開く



「結城サン」



『は、はい…』



「じゃああなたがこの子の父親になるつもり?」



『お、俺…が?』



考えもしなかった
水野先生の言葉に思わず言葉が詰まる



「その様子じゃまだ先の事は考えてなかったみたいね…父親じゃないならないでどうしてそれを早く言わないの」



『…すみません』



「あのね、この子は1日1日どんどん成長してお母サンの少ない栄養だけでも必死に生きようとしてるの」



『……。』



「あなたが父親になる気がないのなら一刻も早くこの子を降ろさなければ母体にも大きな負担がかかるのよ!?」



降ろすと
言う事は



悪い言い方をすると



ここまで育った萌チャンのお腹に居る胎児を



死なせると言うこと