『あの…お話しって?』



慌ただしく走り回る他の
看護士達に気遣いながら



ナースステーションにある



奥の部屋に連れて来られた結城は



看護婦に問いかける



「今主治医の先生呼んでるからもう少し待って貰っていい?…後あの子の名前と生年月日、御家族の方の名前ここに記入してね。後、結城サン自身のも」



『あ、はい… 』



看護士に記入用紙を渡された結城は



とりあえず自分の名前と年齢
萌チャンの解る所だけ記入し



未記入の場所は
後で記入すると看護士に伝える



「あ、結城さんって警察の方だったんですね」



『はい。ちょっと事情があり休職中ですが…』



「あ…」



会話中何かに気付き



突然立ち上がった看護士は
軽く頭を下げて部屋を出る



「お待たせしました」



部屋を出た看護婦と入れ違いで
部屋に入って来たのは主治医らしき先生



「水野です。あなたが結城さん…」



優しく微笑んだ水野と言う医師は
綺麗な女性の先生だった。



「早速だけどあの子の今の状況は今まで見た事のないケースで正直に申しあげるとどう処置をしたらいいか解らない状態で…」



『……。』



「彼女の胎児の事を考えると使える投薬は限られる上処置が非常に難し…『ち、ちょっと待って下さい。胎児って何の話しですか…!?』



「え、彼女のお腹にいる赤ちゃんはあなたのお子さんじゃないの?」



『え!?』



萌チャンのお腹の中に赤ちゃんが?



萌チャンの事


一度も抱いた事ないのに
そんな事あるはずがない



「エコーで確認した所、彼女のお腹の赤ちゃんは3ヶ月位かしらね… 凄く元気よ。赤ちゃんは心臓もちゃんと動いてるし」



『そ、そうですか…』



その子は俺の子じゃない
なんて会話の雰囲気的に言い出せず



俺は無言で
ただ頷いた



「とりあえず彼女に関しては…点滴と経過観察で」



『解りました』