" 立てる? "
達也と加奈に体を気遣われ
俺が連れて来られたのは…
結城の病室の2つ隣の部屋
『……。』
俺は数回ノックして
部屋のドアを開ける
ガラッ
『萌チャ…』
俺が見たのは
ベッドの上で目を閉じ
横になった萌チャンの姿と…
萌チャンの様子を見に来ていた
この病院の看護士の姿。
「あ、結城さん意識が戻ったのね!貴方には色々聞きたい事があるの。だから早く自分の病室に…『あの、萌チャンは!?』
「萌…あ、この子ね。この子なら大丈夫よ…と言いたい所なんだけど、おかしいのよ」
『おかしい?』
一緒に萌チャンの病室へ来た
達也と顔を見合わせ黙り込む
「心臓は完全に止まって瞳孔も完全に開ききってるのに… 脈だけは正常に動いてるのよ…」
『え?』
どう言う事…
看護士の言ってる事が理解出来ず
俺はふらついた足で
萌チャンのベッドに近付く
目を閉じた彼女は眠っている様で
心臓が止っているなんて嘘のよう
『萌チャン…』
達也と加奈チャンが見守る中
俺はそっと萌チャンの手を両手で握った
その瞬間
萌チャンの手に違和感を感じて
俺は何も言わずその場で固まった。


