萌チャンの部屋に戻って来た俺は



「そ、それは…」



さっき見かけた


黒い箱を手に取り
静かに蓋を開ける



中に入っていた物



それは血の付いた鎌の破片



『これが…』



俺はそれを掴みジッと見つめる



亜由美チャンは


鎌の破片を持った俺が怖いのか
離れた場所で俺の事を見ている



『亜由美チャン』



「……。」



『絶対助けてあげるからね』



「……。」



ギシッ



ギシッ



静かな部屋に廊下の床が軋む音が響く



『来る』



ギシッ



ギシッ



だんだん大きくなる
廊下の床が軋む音は



ギシッ



ギ…



突然ピタリと止む



亜由美チャンを殺しに来たハズが
今は結城が守っている立場…



何が何だか自分でもわからない



『…止まった?』



顔を見合わせる俺と亜由美チャン



懐中電灯の明かりだけの
真っ暗で静かな部屋の中



俺は息をひそめる