『…俺の目的、知ってたのか』
下を向き
頭を抱えたまま鼻で笑う亜由美
「あたしを誰だと思ってる? あたしは誰にも殺されな…『亜由美チャン』
呼ばれて顔をあげた亜由美の手に
俺は由佳サンから貰った
ピンク色の石を握らせる
「なっ…これ嫌だ!!」
手渡された石に怯えて
慌てて振り払う亜由美
『……。』
俺は床に落ちた石を無言で拾い
容赦無く握らせる。
今の亜由美は化け物じゃない女の子
結城の、男の力に敵うわけがなく…
もしかしたら萌チャンを呼び戻せるかも
「あ、あたしはこんなモノ… 違う、望んでたモノと違う、嫌だ、怖い、お母さん… 違う、違う… 」
『亜由美チャン、聞いて!もう亜由美チャンに同じ思いをさせたくない… これを持ってあそこに隠れてて。今の亜由美チャンならこの石に触れるだろ?』
俺は
今にも開きそうな
ドアを抑えながら
クローゼットを指差す
「…何故」
『えっ?』
「どうして助けようとする?あたしは西川に亜由菜…アンタの大切な奴みんな殺した…」
『亜由美チャンの事信じたいから』
「……。」
『この魔術知ってるよ、血縁者になる明日香チャンの体を使ってお母さんを呼び戻したかったんだよね。この黒魔樹で呼び戻せるのは最も自分の中で記憶に残っている人…』
「違う、違う… こんなハズじゃ… 」
『亜由美チャンの中で父親に対しての恐怖心の方が勝ってしまったんだよ。亜由美チャンは沢山罪を重ねて来た… それでも今の亜由美チャンは昔の亜由美チャン… 亜由美チャンの中に優しい気持ちも残ってる』
「……。」
俺は優しく亜由美チャンに微笑むと
『早く中に』
「……。」
結城は慌てて亜由美を隠れさせた


