ドクン
ドクン
ドクンッ
ドクン
グチャ
グチャグチャグチャグチャ…
割れた肉の塊から
出て来たモノを見た亜由美は
チ、チガウ…
酷く怯えた表情を見せる
『亜由美どうし…』
俺が見たモノ
それは
あり得ない場所に
手があり足があり
もはや人間の姿の欠片が一切ない
首は180度曲がり曲がった男の姿。
『あの顔…』
見覚えある
そうだ確かアレは亜由美の父親
半分ただれ落ちた顔で
ニタッと笑った父親は
ゆっくり
ゆっくり
亜由美に迫る
イヤダ
" アユミ "
チガウ
" オレノアユミ "
チガウ
この世に戻って来たのは
愛しい母親じゃなく父親
ショックのあまり
その場に座り込む亜由美。
" コンドコソ イッショニ "
ドロドロに溶けた手で
亜由美の髪に触る父親
それに気付いた亜由美は
体を震わせ父親の顔をジッと見る
そんな彼女の姿は
醜い姿ではなく屋敷で一度見た
制服を着た
可愛い女の子の姿に戻っていて
『……。』
涙を浮かべる亜由美
" モウニガサナイ "
血の繋がった姉妹だから?
怯える表情は
どことなく萌ちゃんに似ていて
『あ、亜由美チャン逃げろ!!』
俺は床に転がって居た
椅子を父親に投げつけ
震える亜由美の体を自分の後ろに隠れさせた


