猫とボク。

 窓を開け放したリビングのソファーにひっくり返って、春の空を眺めていたボク。
 ヒタヒタと足音がして。
 ひょいと飛び乗ってきたと思ったら、白い顔が、ボクを覗き込んだ。
「アーゲハッ。なにしてんだ?」
 手を伸ばしてあごの下を撫でてやると、ゴロゴロと喉を鳴らして目を細める。
 むぎゅむぎゅと、ソファーの背とボクの間に無理やり入ってきた。
「狭いとこ、好きだねぇ」
「おーう。落ち着くんだよ」
 そう言って、くわーっ、と大欠伸。
「あっ、タマ、また勝手にかつお節、食べたでしょ!」
「へ?」

 ついてますよ、下あごに!

 「いつでも食べるから、最近太り気味なんだよ!」
「うっ、うるさいな!」

 とかなんとか言いながら。
 タマはあっという間にお昼ねモード。
「よしよし、タマ」
 頭から背中、尻尾までを撫でて。
 猫用毛布をかけて。
「ふふ、お休み、タマ」

 そっと静かにソファーを離れて。
 タマが起きるまで、静かに、静かに……。

【終】