心臓の音
" 萌チャン!? "
誰?
" 萌チャン!? "
誰かが呼んでる
そんな気がする
『……。』
目を開けると
眉間にしわを寄せあたしを見ている
男の顔。
『…結城?』
「良かった…間に合った…」
あたしの体に火が
燃え移った瞬間..
たまたま
結城が部屋に戻って
来てくれたおかげで
あたしは間一髪で
助けられたらしい
「亜由美は死んだよ」
『え…』
「俺が来た時、亜由美は萌チャンの体が焼けない様にかばって…焼け死んでいったんだ…」
亜由美が死んだ?
『それより結城、腕…火傷してる…』
「萌チャンと比べたらこれくらいどうって事ないよ。此処から出よう!亜由美の生首の灰を川に流して早く病院に行くんだ」
『……。』
あたし達は屋敷を出て徒歩で向かった先は
屋敷の裏に流れている小さな川。
『…此処に流すの?』
「うん。綺麗な川に流してやれば…亜由美の念も浄化されて、きっと成仏してくれるよ」
『……。』
「人骨に溜まった念が悪霊になった場合… これが一番最適な除霊の方法なんだってさ」
『…人骨じゃなかったら?』
「え?」
『ううん。何でもない』
「…じゃあ、流すか!」
そう言って
あたしに優しく微笑んだ結城は
ポケットから灰を取り出し川に流した


