アユナ
『あ、あたしは亜優奈じゃな… え?』
後ずさり続ける
あたしの指に伝わる堅くて冷たい感触
もしかして壁
どうする!?
どうする!?
モウ ニゲラレ ナイ
『……。』
ニタニタ笑いながら
あたしに近付いて来る
亜由美とのその距離は
1mもなく
ユウキヲ
タスケタイ ナラ
オトナシク
アンタノ カラダヲ
『結城を助け、る…』
ミノガシテアゲル
『……。』
どっちにしろ
逃げられない
そう思い
覚悟を決め目を閉じた
その瞬間
‐ バキッ!‐
大きな音と同時に
あたしの後ろの
壁にひびが入り
‐ バキッバキバキッ!‐
壁が割れる
ナニ?
埃と砂煙りが上がる中
壁の向こう側に立っていたのは
『あ…』
椅子を片手に持ち息を切らす結城..
「萌チャン早くこっち!」
『え?あ…う、うん…』
あたしは
間一髪の所で
結城に手を引かれ部屋から脱出した。


