結城side~
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リビングに居た結城と萌チャンは
だんだん
だんだん
近付いて来る
亜由美の歌声が聞こえて
慌てて階段を駆け上がる
『結城、あの部屋に隠れよ!』
「え、部屋?」
萌チャンが
指差すのは
ただの壁。
萌チャンは
痛む足を引きずりながら
壁に向かって早足で歩く
「萌チャンそこは…」
俺の見間違い?
いや違う。
どう見たって壁だ
このままだと
壁にぶつかる
そう思った俺は
引き止めようと
萌チャンの後ろ姿に
慌てて手を伸ばした
その瞬間
今まで前に居た
萌チャンの姿は
いつの間にか消えていて..
「え…萌チャン?」
その上
萌チャンの姿が
消えたと同時に
ピタリと止んだ亜由美の声..
「俺は用無しって事…」
萌チャンの事
守るって約束したのに..
俺はさっき萌チャンが
指差していた壁を殴り
大きなため息を吐く


