ゆっくり目を開け
視界に入ったのは
『…結城?』
あたしの体を揺すりながら
心配そうな表情で
見つめる結城の顔
「良かった…」
ゆっくり目を開けた
あたしを見た結城は
大きなため息を吐き
強く強く抱き締める
『ち、ちょっと結城、痛いっ…』
「あ、ごめん…」
抱き締める腕の力を弱めた結城は
「…何考えてんだよ」
『……。』
「…で、俺を置いて、何で1人でここに来てんの?」
今度は
呆れた表情を浮かべ
あたしを見つめる..
『そ、それは…』
もしかして結城の奴滅茶苦茶怒ってる?
それより人形は!?
結城の低く冷たい声に
動揺しながらあたしは
慌てて部屋を見回す
「…萌チャンを襲った気持ち悪い人形ならもう心配ないよ」
『…え?』
結城は床に転がった
黒こげの塊を指差す
「…ほら」
『あ…』
あれがフランス人形?
何で?
真っ黒こげになって
原型の形が解らない
「フランス人形の髪ってさ全部が全部じゃないけど、中には人毛で作られてる物もあるらしいんだ」
『人毛って…人間の髪で作られてるって事?』
「そう、人毛で作られた人形程、念が入りやすい物はない」


